谷口 泰士 Taniguchi Taiji
テクニカル部
Oil&Gas・発電分野でのEPC(設計・調達・建設)業務を経て2022年入社、技術支援業務に従事。 コアスキルは再生可能エネルギー・カーボンニュートラル分野における技術評価、プロジェクトマネジメントなど。
顧客の発電所を「造って引き渡す」仕事から、事業者として「案件開発から操業まで」プロジェクト全体に関わる仕事へ……。転職によって大きく視野が広がったと話す谷口。技術者として三井物産本店と二人三脚で取り組む再生可能エネルギープロジェクトの醍醐味と、技術畑出身のキャリアを生かして活躍できる心構えについて語ってもらいました。
「建設して終わり」から「上流下流すべて」へ。転身で見えた新しい世界
新卒から10年弱、EPC(Engineering, Procurement, Construction:設計・調達・建設)一括請負を生業としたエンジニアリング会社でキャリアを積んできました。機会に恵まれ、建設プロジェクトの設計から調達、工事、試運転まで全てのフェーズで業務に従事しました。しかし、請負側では、完成して引き渡せば案件は終了で、その後の操業には関わることがありません。案件開発から建設後の操業まで、上流下流のプロジェクトライフスパン全体により深く関わりたいと考え、2022年10月に三井物産電力事業への転職に踏み切りました。
結果的に請負側から事業者側への転身は、想像以上に視野を広げることになりました。例えば、建設請負側では基本的にお客様の要望通りに建設することがゴールでありそこに向けて注力することになりますが、事業者側では同じ建設でも原料調達や製品の販売、ファイナンシャルな話も加えて考慮する必要があります。また、プロジェクトマネジメントだけでなく、開発や建設、操業案件などの様々な事業性評価にも携わる機会があります。

三井物産本店と二人三脚で取り組む多様なプロジェクト
現在、私が担当するのは太陽光発電、風力発電、バイオガス、そしてグリーン水素製造からメタノール生成まで、多岐にわたる再生可能エネルギー・脱炭素関連プロジェクトです。同時進行で数案件を手がけ、年に複数回は海外出張に赴きます。行き先は北欧、南米、米国、東南アジアと案件に応じて様々です。
基本的に三井物産本店と二人三脚で業務に携わるため、私たちのオフィスは本店の中にあります。我々は主に技術・プロジェクトマネジメント周りを担当し、状況を見ながら緊密に連携することで、最大の成果が出るように臨機応変に対応します。
メイン業務の一つは、本店の関連会社やパートナー、投資候補先企業と技術的な議論が必要な際に、技術者として最前線に出ることです。専門的な内容を正確に理解し、適切に判断するためのサポートを行います。技術者の目線で、潜在的なリスクがないかの精査や、契約及び案件を取り巻く状況を考慮した判断が求められています。
最近は、脱炭素の潮流により、大手企業が手がけにくい新技術を持つベンチャー企業と組む機会も増えています。こういった技術は、目新しい反面、実績が少なく、慎重にリスクを判断する必要があり、現地に赴いて技術者と膝詰めで協議することもよくあります。
携わった業務の中で特に思い出深いのは、入社1年目に担当した建設中プロジェクトへの投資案件です。デューデリジェンスから契約交渉まで幅広く関わることができました。技術評価だけでなく、最終交渉にも同席させてもらい、署名セレモニーまで立ち会いました。連日朝から晩まで契約条件を詰めるハードな業務でしたが、最後に両社でお祝いしたのも含め、非常に達成感を感じた瞬間でした。

技術者にこそ求められる「ビジネスマインド」
私は設計部門出身で、プロジェクトマネージャーとしての経験はありませんでしたが、現在では時に案件をリードしつつ様々なプロジェクトを手がけています。
当社が特徴的なのは、子会社でありながら三井物産と一体となって動いている点です。協働体制も柔軟であり、いい意味で「なんでも屋さん」的な面があるので、所謂技術者的な完璧主義より、バランス感覚やビジネスマインドがより求められていると感じています。前職時代に経験した様々なステークホルダーとの折衝や、培った技術的な仕様と商務の関連性に対する感性が活かされていると思います。
ワークライフバランスをとりつつ、出向などさらなる経験を
勤務はテレワークと出社が半々程度です。忙しさは本店側からの依頼次第で波があります。「休めるうちに休んでおく」という文化で休暇取得もしやすい環境と感じており、自分でバランスを取り、プライベートでは家族との時間を大切にしています。
多種多様な案件に携わることができるのが当社の魅力であると考えているので、今後のキャリアに関して、特定の商品分野にこだわりを持ってはいません。様々な種類の案件に関わって知識や経験がついてきた実感はあるので、今後はもう少しハンズオンで案件に携わり、経験により深みを付けていきたいと思っています。事業会社に出向する機会もあるので、そういったチャンスが近いうちに来ればと考えています。
エンジニアリング会社での経験を活かして事業者サイドで新たな挑戦を続けながら、多様なプロジェクトで培った知見を武器に、さらなる成長を目指していきたいと思います。


