火力から再エネまで、変化の最前線で10年。商社系電力事業の醍醐味とは

三井物産電力事業 火力から再エネまで、変化の最前線で10年。商社系電力事業の醍醐味とはのイメージ

佐藤  Sato
テクニカル部

電力会社、外資系変電機器メーカーを経て2015年入社。各種電力案件履行・開発の経験を生かして、現在、豪州グリーン水素建設案件、洋上風力案件、Renewable開発プラットフォーム会社など国内外の案件を担当。


石炭火力が主流だった時代から、風力や太陽光、そして再生可能エネルギーから生成されCO2を排出しないグリーン水素まで――。脱炭素の潮流とともに急激に変化する電力・インフラ業界で、当社技術者として10年間のキャリアを積み重ねてきた佐藤。三井物産のテクニカルサポートを担う専門家として活躍する彼が語る、変化に対応し続けることの面白さと、技術者に求められる新たな視点とは。

目次

火力から脱炭素へ。業界の大転換を最前線で体験

私のキャリアは電力会社からスタートしました。その後、外資系変電機器メーカーでの経験を積み、2015年に三井物産電力事業に入社して10年が経ちます。入社当時は、ほとんどが火力発電に関する案件でした。石炭火力やコンバインドサイクルというガス火力の開発が中心で、入札から建設、操業まで幅広いフェーズに関わっていました。また、ドバイとオマーンに合わせて2年半ほど赴任し、ガス火力発電所の建設管理に直接携わってきました。日本人は私一人の環境下で、事業会社での業務を通じて得たプロジェクトマネジメント能力や国際的な視点とネットワークは、現在のプロジェクトでも生かされています。

入社から10年が経った今、業務内容は劇的に変化しています。世界的な脱炭素の動きにより、石炭火力からガス、そして風力や太陽光などの再生可能エネルギー、水素・アンモニアなどへとシフトしてきました。主に、再生可能エネルギー(Renewable)案件や仮想発電所(VPP)案件、プロジェクトのデューデリジェンス、国内洋上風力案件などの経験を経て、現在は、オーストラリアでのグリーン水素製造プラント建設や洋上風力、また再生可能エネルギー開発プラットフォーム会社の案件などを同時進行で担当しています。また、当社は工場や発電所などから排出されるCO2を大気中に放出する前に回収し、地中深くに貯留・利用するCCS/CCUS技術など様々な最新技術に携わっています。

当社の仕事で特筆すべきは仕事のサイクルの速さと技術分野の幅広さです。発電所・プラントは数十年運用しますが、商社の場合、短期で売却して新しいスタイルの電力・インフラ案件に関わっている可能性もおおいにあります。これだけのスピード感と幅広い技術分野を扱う仕事は、商社ならではでしょう。

三井物産グループの大きな強みの一つは、世界各国に築かれたネットワークです。新興国にも拠点が多く、例えばOIL&GAS事業で培った現地政府との関係性を、電力事業でも活用できるなど、すでにコミュニケーション基盤があることも多いのです。こうした総合商社ならではの力は、大きなプロジェクトを進める際に非常に仕事がしやすいと感じています。

担当する案件にもよりますが、海外出張の機会も豊富で、世界各地のプロジェクト現地を訪れていますし、入札などがあれば長期で出張することもあります。現地のプロジェクトマネージャーやコントラクターをはじめ、各種ステークホルダーと直接対話し、技術面を筆頭に案件の最新の動向をキャッチアップできる環境は、非常に刺激的です。

技術・現場経験をビジネス視点で活用できることが大切

三井物産本社の技術的専門分野の知見をサポートするのが、現場経験のある専門家集団である我々テクニカル部の役割です。現場の状況をどう判断すべきか、上がってくるレポートをどう読み解くか。コンソーシアムパートナーやコンサル、コントラクターと連携し課題に対応しながら、膨大な情報をまとめ、本社のマネジメントが適切な判断を下せるようプロジェクトマネジメント面・技術面からサポートする、非常にやりがいのある仕事です。

求められるのは、技術力に加えて事業全体を俯瞰する視点です。単純に技術を深掘りするだけではなく、その技術がビジネスとしてどう成り立つか、どうすれば実現・履行しきれるかを見極める目が重要なのです。有望な技術を見つけ出し、それをビジネスに活かす道筋を描く。実際の技術開発は パートナー企業等が担うことが多いので、我々は上流工程で技術とビジネスの橋渡しをする役割を果たしています。つまり、現場での技術やプロジェクトマネジメントの経験を持ちながら、それを経営的な視点で活用できる人材が求められており、リスクや可能性を、限られた条件・時間で的確に判断し、様々な考えを持つ多岐にわたる関係者に伝えて交渉する能力が重要です。

価値を創出し最先端を走り続ける志を

社員はみなそれぞれ経験・専門性を有しており、それぞれが自立して業務を進めています。実際のプロジェクトを通じて学び、成長していくスタイルと言えるでしょう。そのため、自ら積極的に行動し、新しい技術やビジネスモデルにチャレンジする姿勢が大切です。三井物産本体や事業パートナーから信頼され、貢献し続けるためには、常に時代にキャッチアップし、自分なりの専門性の学びを深めるとともに幅を広げ、アイデアを磨き続ける必要があると感じています。

私自身、今後より難易度の高いプロジェクトに深く関わり、自分の知見を深めていきたいと考えています。こうした将来社会を支えるビジネス・技術においてプロジェクトマネジメントや技術面で貢献し成長できる機会があるのは、この会社の大きな魅力です。

当社では多様なバックグラウンドを持つ専門家が活躍しています。エンジニアリング会社や電力会社やメーカー出身などそれぞれの経験が、違った角度から価値を生み出しており、社内でそれぞれの経験に基づいてアドバイスし合い、また協力し合える環境です。この記事を読んでくださっているあなたがこれまで培ってきた技術経験も、きっと新しい形で活かせるはずです。グローバルな視野を持ち、難しい条件のなか自ら積極的に行動できるチームと一緒に、ともに世界中へインフラを届け、豊かな未来をきずくことに貢献できればと思います。

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